涙のスイッチ

「美和ー、上がって来いよ」


2階から声がして、戸惑いながらブーツを脱いで部屋に上がらせてもらった。


「こっち、オレの部屋」


「うん。おじゃまします…」


モノトーンで落ち着いた部屋は適当に散らばっていて、お世辞にもキレイとは言い難い。


「ゴメン、片付けようと思ってたんだけど寝坊しちゃって、さ。美和が来るまでどうにかしようと思ってたかだけど、どうにもならんかった。ココ、座れよ」


「ウフフ…。うん、ありがとう」


マンガの本を押しのけて、あたしの座る場所を確保してくれた。


「あのね、コート、ありがとう。コレはさっきママと作ったドーナツなの。お口に合うといいんだけど…」


「サンキュ。へぇー…お菓子なんて作るんだ?」


「ううん。ママの手伝い程度だよ?」


「今、何か飲み物持ってくるな」


そう言って迪也くんは下へ降りて行った。