涙のスイッチ

「…っ…っ…」


「あのさ、美和。

人って歩いてるとつまずくんだよ。

でもつまずくっていう事は先に道があるからで。

つまずいて転んで、泥だらけになっても進まなきゃならなくて。

でさ、苦労してやっと登った坂道の先には、見晴らしのいい景色があるんだ。

そうするとスキップしながらいろんな風景を見て山を下れる。

で、また歩く。

またつまずきながら山を登る。

その繰り返し。

だけどゴールまで必死になって歩き続けて、寿命っていうゴールが見えたら、そこでやっと自分の来た道を振り返る事ができるんだ。

あぁ、生きてて良かったな、って。

な?」


ゆっくりと言葉を選びながら語ってくれる迪也くんの心が、あたしの中に温かい水のようにスッと入り込む。