涙のスイッチ

迪也くんはおもむろに着ていたコートを脱ぎ、あたしの肩にかけた。


「あ、でも…。迪也くん、寒い…でしょ?」


「寒さには慣れてるし、オレ鍛えてっから」


あ…。


迪也くん、笑うと八重歯が覗く…。


小さな発見に得した気分になってるあたしって…変、だよ、ね…。


「なぁ」


「…?」


「なんでか聞いてもいいか?」


「…あの事?」


「うん」


いいのかな、甘えちゃって…。


でも言葉にして伝えればまた1つ、迪也くんに勇気をもらえそうな気がした。


だからあたしは大きく息を吸った。