「…!ワンッ!ワンッ!」


遠くでジョンの鳴き声が聞こえる。


「どうした?ジョン。何かあったのか?」


声。


男の人の声だ…。


目を開けようとするのに、薬と寒さで眠ったままの瞼が開かない。


「オイ…。オイッ!生きてるか!?」


激しく揺さぶられる体。


どうしよう。


見つかっちゃったんだ。


あたし、助かっちゃうよ…そんなの、望んでない。


「オイッ!…まだ生きてるな。しっかりしろッ!起きろよッ!!」


ヤダ…。


ヤダよ。


助けないで、お願い。


あたしを見捨てて。