翌日、朝一番の電車であたしは1人、熱海を発った。


何も考えられない。


あたしは何が欲しいのか、誰を必要としてるのか。


あんな風に旭くんに想いをぶつけられるなんて思ってもみなくて。


こんな風に迪也くんから遠ざかってしまうなんて。


あたしってこんな簡単なのかな…。


迪也くんとはもっと強い糸で繋がってるんだと思ってたのに。


あっけなく切られたミサンガみたいに、願いは叶う事なく宙ぶらりん。


喪失感。


ただそれだけが残った旅行だった。