やるせなかった。

こんな時いつでも紅は思う。

これが私だったらと…。

ゾンビになった姿を晒したのが、芹ではなく紅だったら。

要はここまで慟哭しただろうか。

引き金を引くのを躊躇ってくれただろうか。

芹だから。

芹だったからこそ、これ程までに取り乱し、狼狽したのではないか。

そんな嫉妬がなかったといえば嘘になる。

紅は片手に握った日本刀を横薙ぎに振り。

「!!!!!」

校門の向こう側にいる少女のゾンビの首を刎ねた。

宙を舞う、ポニーテール姿の少女の頭部。

もしかしたら、芹かもしれないゾンビの頭部…。

「うあぁああぁあぁあぁぁっ!」

その光景が直視できず、許せず。

要は目の前の紅を拳で殴った!