車で近づき、かたく閉ざされた校門の前で一旦停止する。

「あの、すみません」

助手席の窓を開け、校門の内側で見張っている男性に声をかける。

自作なのだろう。

丈夫そうな長い棒の先に包丁を括りつけて固定した槍状の武器を持っていた。

「俺達、はぐれた仲間を探しているんです。もしかしたらここに避難しているかもと思って…」

「……」

見張りの男は注意深く要と、同乗者の紅を見る。

ゾンビによる傷を受けていないか、または敷地内に入って食料などの略奪行為に及ばないか。

それを吟味しているのだろう。

万が一ゾンビに傷を負わされた者が敷地内に入れば、生存者全員が全滅の憂き目に遭う。

また無傷の生存者だとしても、無法地帯と化したこの機に乗じて蛮行を働く者もいる。

避難場所とはいえ、誰も彼も受け入れる訳にはいかないのだろう。