そろそろ車のライトを点灯させなければならないかという暗さになる頃。

「む…あれか?」

紅がフロントガラス越しに目的の建物を見つける。

クリーム色の壁の、二棟の大きな建物が建てられた大きな敷地。

比較的新しい建築物だ。

目的地の小学校。

「見て下さい、紅さん」

要が指差す。

校庭には多くの車が駐車してある。

やはり睨んだ通り、この小学校は生存者達が避難場所として利用していたのだ。

辛うじてゾンビの襲撃から逃れ、安全な場所を求めて集まってきた人々によって確保されている。

何の心配もない…とまでは言えないが、要と紅の二人だけで屋外を移動しているよりはずっと安心だった。