「くっ!」

噛み締めた歯の隙間から声を洩らしつつ、芹は立ち止まる。

手にしているのはレミントンM700狙撃銃。

ボルトアクションで弾丸を装填し、狙いを定めてトリガーを引く!

彼女の撃った弾丸は、大群の先頭を歩くゾンビに命中、頭部を破壊してその場にうつ伏せに倒れさせた。

「馬鹿!奴らに構うな!君はとにかく走れ!」

反撃を試みる芹を怒鳴りつけ、小川が89式小銃をフルオートで撃つ。

瞬く間に弾倉は空になり、すぐさま新しいマガジンを装填する。

「小川さんの銃だってもうあんまり弾薬ないでしょう!私も援護しなきゃ!」

芹も要達と共に組長の屋敷に滞在している間に、銃火器についての知識は得ている。

ある程度の事は理解できた。

小川の持つ89式小銃の弾薬もそう多くは残っていない事。

そして小川と芹の持つ弾薬全てを合わせても、迫ってくるゾンビの群れ全てを殲滅するのは不可能である事…。