警察も、軍も、政府でさえも。

誰もこの流れを止める事はできない。

ゾンビはゾンビを生み出し、早急な対策を立てる前に感染は海を越えて世界中へと拡大する。

相沢 要(あいざわ かなめ)の住む葺山市(ふくやまし)にも、例外なくその脅威は訪れた。

終わる日常。

訪れる惨劇。

いつもと同じ朝は唐突にエンディングを迎え、正午を迎える頃には生者と死者の数は逆転していた。

それでも、運に見放されなかった生存者…一年先輩の二階堂 紅(にかいどう べに)、クラスメイトの来生 芹(きすぎ せり)と協力し合いながら、要は学園を脱出し、安息の地を求めて逃避行を続ける。

…つまり彼らは、まだわかっていなかったのだ。