弾薬の装填が完了したトカレフをホルダーに納め。

「もう生存者はいないんでしょうか…組長達と俺達の他に…」

要は俯き加減に言う。

絶望的な状況下でも屈する事のない彼でさえ、先程の亡者の群れは圧倒的なまでの衝撃を与えられた。

あれ程の数のゾンビが徘徊する外界で、一体どれだけの生存者が生き延びられるというのか。

逃げ延びた人間の全てが、要達のように銃火器などで武装している訳ではないのだ。

素手や即席の鈍器程度で対抗するには、ゾンビの数はあまりにも多すぎた。

そして要の言葉は、もう一つの事も意味する。

…要達と別行動をとっている芹。

彼女の生存も危うくなってきたという事だ。