朝、玄関で拓也に会った。


昨日の事を思い出すとちょっと照れくさい。

「おはよ~雪乃~ちゃん!」


「おはよう拓也~先輩!」


ぷっ~と吹き出しながら笑う。


沙織はその様子を二人の後ろから見ていた。

「おはよう拓也~雪乃おはよう…」


「おう!沙織~体調は?」


「もう大丈夫。ごめんね…心配かけて…今日拓也の家に行ってもいいかな~?」


なんだろう…もう形だけの彼女だってわかってるのに、ドキドキする。


「ごめんな~今日はちょっと用事あるんだ!」


「そっかぁ~わかった。埋め合わせは必ずするからね。雪乃に優しくしてくれてありがとうね…」


は~ぁ。


沙織は完全にやきもちやいてんなぁ。


拓也と私に何かあったの?って聞きたい感じが見える~


「沙織、相崎先輩にもお礼の埋め合わせしなきゃね~彼氏じゃないのに沙織を送ってくれてって~拓也先輩の友達だから沙織に優しいんだよねぇ~」


精一杯のイヤミだった。


喉から本気が飛び出しそうなくらい、勢いよく言った。


沙織の顔色がちょっと曇って見えたのも、拓也はわかっていた。