正直、僕は今非常に戸惑っている。




「えーっと、まずはどこから話せばいいかな?」


「っ…」



僕らは公園のベンチに腰掛けた。


聞きたいことなんか山ほどある。

だけどそれを口に出してしまったらまた泣き出しそうになることが堪えられない。

それと同時に、僕が紘奈を好きだったこともバレてしまいそうなので、なにも言えなかった。



「もーっ、だんまり?まぁいっか。じゃあまず名前の件ね」



そんな僕の心情を知る由もなく、紘奈は勝手に話を進めた。




「両親が離婚しちゃってさ、あたしは父方に引き取られて引っ越すハメになっちゃったんだけど、新しいお母さんがまたひどい人でさぁ、追い出されちゃったんだ」


「えっ、ちょ…」



離婚とかひどいお母さんとか追い出されたとか、淡々と喋りすぎじゃないか?

どう聞いてももっと重い話だろ、これ…



「そして、斎木さんって人に拾われて、戸籍も斎木にしてもらったんだけど、その人もなかなかおかしな人でさ、今度は自分から逃げ出したんだ。そのままこの身ひとつで孤児院に入って、今までずーっと孤児院暮らしだったよ」