しかしそんな淡い想いを口にはできなかった。


「隣のクラスの香苗ちゃんがね、けいちゃんのこと好きなんだって!また伝えてって言われちゃったよ~」



―――さえは、俺を好きじゃない。


生まれつき端正な顔立ちの定岡は、昔から告白には慣れていたが、さえは定岡に恋愛感情を持っていない。


この報告が、なによりも辛かった。



「………っ」

「けいちゃん?香苗ちゃんのこと、嫌い?」

「…知らないよ、そんな子」

「えー?!嘘だよー!だってこないだ、さえとけいちゃんと香苗ちゃんとアリサちゃんで公園で遊んだもん!」



言われてみればさえに公園まで引っ張られ強制的に遊んだような気もしたが、特別興味もなかったし顔も覚えてはいなかった。



「うるさいなぁ!俺にそんなこといちいち報告して、さえはなんとも思わないのかよ?!」