ハートに向かう前に、服が泥まみれなので着替えるため一旦家に戻った。

母に怪訝な顔をされたけど気にしないでおいた。


ただ心の中でだけ、「ごめん」と呟いた。


左手の人差し指に、ふーちゃん特製のビーズの指輪をはめた。



これから僕は、ふーちゃん達を殺した人のところまで行く。

そして大切な人を守ってみせる。


斎木さんの思い通りにはさせないし、紘奈に力を使わせない。


怖いけど、死ぬことも覚悟してるつもりだ。

ふーちゃん達の仇をとるために斎木さんを殺す勇気はない。
ダメでもともとだし、犬死にも目に見えている。



最後の最後まで、情けない息子でごめん。


言葉にすると死ぬことが恐ろしくなりそうだから、なにも言わずに家を出た。