考えたくないのに色んな考えが巡って呆けていると、いつの間にか放課後になっていた。



「紘奈サーン、ここら辺の道わかる?俺いろいろオモシロいトコロ知ってるからさ、一緒に帰ろうぜー」



聞こえてきたのはやっぱり定岡の声だ。
早速紘奈に目を付けたらしい。

まぁ定岡はイケメンだし、2人が並んだら美男美女でお似合いなんだろうな。

なにより、定岡の誘いを断る女子なんか見たことがない。




「あ、あたしこの辺わかるから大丈夫だよ!親切にありがとうね」



「!!」


クラスに残ってた全員が紘奈を見た。

定岡の誘いを軽くあしらった。



「ひ、紘奈サ…」

「じゃあね、定岡くん。また明日」



呆然と立ち尽くす定岡に手を振り、紘奈は歩き出した。

どんどん僕との距離が縮まってくる。



「まさくん」



目が合った僕に紘奈はにっこりと笑いかけ、当然のように僕の手を取った。



「じゃあ、帰ろっか」



繋がった手を振り払う勇気もない僕は、そのまま紘奈と一緒に教室を出た。


教室から少し離れた途端、教室から一斉に僕を非難する声が聞こえてきて軽く鬱になりそう。