扉の向こうは、思ったより広々としていた。

窓はなく、壁も床も天井もすべて薄汚れた白で埋め尽くされ、あまり清潔感はない。

向かいには質素な長テーブルにパイプ椅子がいくつか並べてあり、テーブルの向こうには重々しい雰囲気の漂う一人掛けの椅子が背を向けて鎮座していた。

その椅子は床に固定されているようで、椅子に座れば薄汚れた白の壁しか見えない。
窓もない壁に向かって座り、なにが楽しいのだろう、とみなとは思った。


子ども達はパイプ椅子に座ったものの、眠さが限界に達しており今にも寝てしまいそうだ。

時間は21時を回ってる。


「すみません、子ども達がちょっと限界みたいで…」


みなとは恐る恐る斎木に聞いた。

この部屋の気味悪さによく映える斎木の目が、どこか恐ろしかった。


「そちらにベッドがありますので、寝かせてあげてください」


斎木が差した部屋の隅に、キングサイズのベッドがあった。
そのベッドはシーツもしっかり洗濯されてるようで、清潔感のあるベッドなので安心した。

このサイズならば、子どもを横に並ばせれば事足りる。


子ども達をベッドの上に寝かせると、すぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。