「卒業式も近付いてきている。高校は地元の由鶴高校に通うやつが多いが、早瀬をはじめ、数人の生徒はバラバラになってしまう」



そう。



私は有名私立を受験したところ、見事合格した。



といっても、さほどレベルが高い学校ではなかったので、落ちることはないだろうと思っていたのだが。



けれど、馬鹿校のこの中学から見ればいい方で、合格発表の後の数日間は友人たちの『おめでとう』に優越感を覚えたものだった。



今思うと、ちょっと嫌なやつだったな。



あくまで『ちょっと』だけど。



そんなことを考えながら、窓際の席であるのをいいことに外ばかり見ていた。



他のクラスは体育をやってるみたい。



あ、あの子あとちょっとで逆上がりできるのに。