瞳にたまった涙は、家に着く前にすでに流れていた。



・・・真央さんって、誰だろう。



春樹に限って浮気なんて考えられないと思ってたけど、違ったの?



ていうか、名前の登録の仕方を見たら、私のほうが遊びだったのかもしれない。



もしそうだとしたら、真央さんがうらやましい・・・。



春樹の家を飛び出した時、ちらっと見えた春樹の顔。



何か言いたいんだけど、言えない、どこかもどかしげな顔。



・・・私、春樹の話を聞かなかった。聞く耳を持とうとしなかった。







「・・・ぅ・・・だっ、て・・・信じられな・・・うぅぅ」






泣き声は、一人きりの部屋にさみしく消えた。