『桐生春樹』 『はいっ』 卒業式も始まって、しばらくしたころ。 桐生の名前が呼ばれると、ドキリと心臓が鳴った。 緊張で少し上ずった声。 『3年1組最狂クラス!』と太いマーカーで落書きされた上履き。 校長先生とのお辞儀もどこかぎこちない。 席に戻ると安心したように息を吐いて。 そのすべてが、愛おしかった。