すぐ横をすれ違って、離れて行く… あたしは立ち止まって 抱えてるパンをグッと胸に押し付け、深呼吸をする 「……落ちつけ、あたし…」 そう呟いた時 カタン――… と携帯の落ちた音が後ろから聞こえた 肩がピクッと上がる 携帯は誰かに蹴られて あたしの足元に当たった 驚きながら足元の携帯をじっと見つめる 「…………え?」 もしかして 雄大くん………の…? 「俺の携帯……。」 携帯を目で追っていた雄大は ゆっくりと顔をあげていく .