「ごめん…今は一人にして欲しい」




これ以上気の利いた事も言えないと感じた俺はゆっくりと後ろをついてきていた麗華に一言だけ告げた。




今は何も話す気になれなかった。




心の奥にしまった苛立ちを麗華にぶつけてしまいそうで…ただ怖かった。





けど俺の言葉を聞いても麗華は俺の傍を離れようとはしなかった。




それどころか麗華はただ何も言わずに俺の背中に抱き着いた。




背中越しから伝わるこの温もりに…俺は何も言え無くなった。





「お願い…一人で抱え込まないで。凌があたしを助けてくれたみたいに…今度はあたしが凌の力になりたい…」




心地好く背中に響く麗華の声に今まで抱えてきた物が溢れそうになった。




今まで一度も人に弱さを見せず誰にも頼らずに生きてきたけど…もう限界にきていたのかもしれない。





…麗華の想いがただ純粋に嬉しかった。