「許して貰えないのは分かってる…だけど仕方なかったの。再婚相手の彼に子供は嫌いだって言われて…」


「…今さら言い訳なんか聞きたくねぇよ!俺が誰のせいでこんな生活してると思ってんだよ。もう…二度と俺の前に現れるな」




低く冷めた声で言い放ち玄関の外へと追い出した後、すぐさま扉を閉めた。




扉の閉まる音が空しく響いて…俺はそのまま力無くその場に座り込んだ。




頭を抱え込みながら唇をきつく噛み締めた。そうでもしていないと思い出したくもない過去が溢れてしまいそうだった。




煙草を取り出す気力すら無く、玄関の扉の前でしばらく座り込んでいたその時。




「凌…どうかしたの…?」




麗華が心配そうな表情で俺の傍へゆっくりと近づいていた。




「…大丈夫。何も無いよ」




上手い嘘もつけ無いままその場から立ち上がり、無理な笑顔を麗華に向けてリビングの方へと戻った。




今の俺には平気なフリをする余裕さえも無かった。