「…凌……」




扉の先に居たのは俺の名を呼ぶこの人間は他の誰でも無い…俺の全てを狂わせた母親だった。




「…何しに来たんだよ。今すぐ俺の前から消えろ」




怒りで声が僅かに震えた。




俺を捨てて自由気ままに暮らしてきたくせに…今さら何の為に来たんだよ。




俺がどんな想いで過ごしてきたか知りもしないで…





「ごめんなさい…凌には本当に悪い事をしたと思ってるの。何も説明しないまま一人にさせてしまって…」


「今さら謝って済むとでも思ってんのか?」




どうやって俺の居場所を知り得たのかは知らないが、何を言おうと俺は絶対に許さない。




許せる訳がねぇよ…どんなに時間が経っても過去は消えねぇんだから。




今更狂ってしまった時間を取り戻す事なんか出来ねぇんだよ…