「お疲れ様でしたー…」
まだ店に残っていたホスト仲間、ボーイ、オーナーにそれぞれ別れを告げた。
店を出た後、ビルの地下の駐車場にある自分の車に乗り込んだ。
仕事の間ずっと我慢していた煙草を吸いながら車をゆっくりと発進させた。
本来ならば真っ直ぐに自宅へ向かい体を休めるべきだって事は充分分かっている。
でも夜の世界で生活してきた人間は昼と夜、真逆の生活を送っている。
そのせいなのかどれ程疲れていても仕事が終わった後すぐに体を休める気にはなれなかった。
信号が変わるまでの僅かな間。
適当な番号へダイヤルを回しながら車を近くのホテルへと向かわせた。

