汚れた天使














「金が欲しい訳じゃねぇよ!さっさと麗華に会わせろ!」





男は素直に金を受け取ろうとはしなかった。




「悪ぃけど…ゆっくり話してる時間はねぇんだよ。とりあえず金はやるから、今日は帰れ」




俺は男に札束を無理矢理押し付けて店の中へと戻った。





金なんかで解決出来る様な問題じゃない事は俺にも分かっていた。




何処で俺の居場所を知ったのかは知らねぇが、あの男は又この店に来るかもしれない。




でもこれで少しはあの男から麗華を遠ざける事は出来たはずだ。





たぶんあの男は金の為に麗華を働かせ続けてきただけなのだろうから。





絶対に麗華をあの男に会わせる訳にはいけない。





俺にそんな権利が無いとしても絶対に俺の意志は揺るがない。




全ては麗華を守る為だから…









確かに金が欲しいのは人間の生まれ持った欲かもしれないけど、欲し過ぎると何もかも失う。






金は人の心をどんどん蝕み汚していく恐ろしいものだ。