辺りはすっかり夜の街へと化してネオンの光に包まれていた。
そろそろ開店時間を迎える。
男とゆっくり話をしている様な時間は俺には無かった。
面倒になった俺は財布から札束を取り出して男の目の前に差し出した。
男の目的は…きっとこれだ。
麗華が<男に貢いでいる>と口にしていたし間違いないと確信した。
「…何だよ、これ」
「麗華を必要とする理由もどうせ金なんだろ?金なんか俺には必要ねぇし幾らでもやるよ」
俺には意味のない金など必要ない。くれと言われれば好きなだけやる。
俺はこいつと違って麗華を金の為に必要としてるんじゃない。
初めは麗華の為に傍に居ないといけない…そう思っていた。
でもいつしかただ俺自身が傍に居たい…そう思う様になっていった。
これを愛と呼ぶのか…俺は知らないけど。
ただ麗華を特別に…大切に想い始めている事だけは確かだった。

