汚れた天使














ようやく次第に夜の街へ朝の光が差し込んでいく時間。







とても長く感じる俺の一日も後もう少しで終わろうとしていた。





「ありがとうございました。またお待ちしてます」


「もちろん。また来るわね」





爽やかな笑顔を作りながら、本日最後となる客を丁寧に店の外まで見送った。






今日も指名数、売り上げ共にNo.1の位置を保つ事が出来た。





いつかはこのNo.1という地位も堕ちる時が来るかもしれない。





それがいつ来るのかは誰も予想がつかない。それが…水商売という名の仕事だ。






特にNo.1という順位に執着している訳では無かったけど…金の為、そして自分のプライドの為にずっと守り通してきた。





だから今さら失う訳にはいかない。





全ては自分の為…ただそれだけの理由だとしてもこの地位に縋り付いていたかった。






この世界で必要なものは地位と金以外に何も無い…その両方を持つ人間だけが評価される。





その両方を持たない人間は何の価値も無くなる。




もともと俺の価値なんて在って無い様なもの。だからこそ、俺にとって金も地位も両方必要なもの…ただそれだけだった。