「さっき…荷物を取りに帰ったら偶然あの人が家に居て…もう…これ以上耐えられなくて…別れて欲しいって言ったら…すごく怒って…またいつもの様に殴られて…」




麗華は涙を流しながら起きた出来事の全てを俺に話してくれた。




顔や体に増えていた傷もやはり全部あの男の仕業だった。




そう考えれば麗華から送られてきたメールの後、連絡が途絶えたのにも納得がいった。





愛しているからこそ嫉妬をするのだろうが、結果的には麗華を苦しめ…そして傷つけている。





どんな理由だろうと…そんなやり方絶対に許される訳がない。





嫉妬とか愛とかそういう感情とは無縁なまま生きてきた俺には麗華の痛みを完全に分かってやる事は出来ないかもしれない。





だからこそ…教えて欲しい。





「なぁ…何で俺を選んだ?」





何故あの男の所には行かずに俺の所に来たのか。





例え暴力を振るう様な男だったとしても長い間一緒に暮らしてきた、そんな奴と別れる事はそう簡単じゃないはずだ。





それなのに何故…数週間という短い時間を過ごしただけの俺の方を選んだのか。





あの男の元から離れただけで麗華が幸せになれる保証はない。





本当に麗華の選ぶ答えがこれでいいのか、ただそれだけを確かめておきたかった。