「麗華…これからも俺の傍にいて欲しい。もうあいつの所には行かなくていいから」


「…っ…凌…」




麗華の腕を解いて振り返り真っ白な肌に伝う涙をそっと触れる様に拭いてきつく抱きしめた。





この先の事も何も考えたく無かった…ただ麗華が俺の傍に居てくれたらそれでいい。





例えこれが間違った選択だとしても、もうどうでも良かった。






出会ってほんの僅かな時間しか経たないけど、俺の中での麗華の存在は何よりも大切なものになっていた。





失う事にとてつもない恐怖を感じた…傍に居れない事に虚しさを感じた。






ようやく俺は愛を知る事が出来たのだろうか。




嘘の愛ではなく…本当の愛を。







夜空に浮かぶ満月の薄暗い光が妖艶さを含みながら辺りをそっと優しく包み込んでいた。