しばらくして、隼人に《明日の昼、見舞いに行く》と一言連絡を入れながら病院の駐車場に向かった。
薄暗い電灯だけが僅かな光を放つ中、ポケットから鍵を取り出して自分の車を探していた。
黒の車だという事もあってか、辺りが暗過ぎて自分の車が中々見つからずに駐車場を無駄に歩き回っていた。
その時何故か…突然背中に何か暖かみを感じた。
「…麗華?」
すぐには確認出来なかったが間違いなく麗華が俺の背中に抱き着いていた。
暗くて表情までは見えなかったが…体がまだ少し震えているのだけは感じられた。
「凌っ…ごめんね。あたし…やっぱり凌の傍に居たい…」
涙で声を詰まらせながら小さく優しい声が背中越しに響いた。
俺はこうなる事を心の何処かで望んでいたのかもしれない。
どんなに最低な男でもあいつを選ぶだろうと思っていたから。
俺がどんなに努力しようと彼氏という存在のあの男には敵わないと…諦めかけていた。