汚れた天使















「…ごめんなさいっ…」




麗華は俯いたまま涙を流して震えた声でただ謝り続けていた。





謝る必要なんかねぇよ…全部悪いのは目の前にいるこいつだから。




勝手に嫉妬して勝手に彼氏づらして…一体何がしてぇんだよ。




結局怒りを抑え切れずに気づいた時には男の胸倉を掴んでいた。





「自分がしてきた事…分かってんだろ?俺も散々最低な事してきたけど、好きな女くらい大切にしてやれよ!俺はお前みたいな汚ねぇやり方、絶対にしねぇよ」




怒りに任せて頭の中にあった言葉全てを男に向かってぶちまけた。




「勝手な事言ってんじゃねぇよ!部外者が口出しするな!」




男は俺の腕を払い除けた後、小さく震えながら怯えている麗華の腕をきつく掴んで病院の出口の方へ向かっていった。





麗華の震えた声が頭の中で何度もリピートされたまま、煙草を口に佗えながら近くにあった椅子に座り込んだ。





引き止める事すら出来無かった自分の無力さが情けなかった。







誰一人として居ないとても静かな空間に俺の嗚咽だけが小さく響いていた。