俺の言葉にさらに怪訝そうな表情で睨む男の隣で、麗華は目を逸らしながら怯えるように震えていた。
麗華の体には痛々しい傷痕がまたより一層増えていた。
俯いたままの顔も殴られた傷やアザでもうボロボロになっていた。
全て目の前にいる男の仕業かと思うと怒りで体が震えた。
ただ麗華を助けてやりたかった。
そう思っていても俺にはどうすることも出来ない…俺にそんな資格は無い。
助けてやる事すら出来ない自分がただ情けなかった。
そして男は俺を睨みつけていた視線を突如、麗華の方へ向けた。
「まさか…こいつか?こいつのせいで別れようとか馬鹿な事言い出したんだろ?おい…答えろよ!」
男は必死になりながら突っ掛かる様にして麗華に質問を投げかけ続けていた。
深夜の静まり返った病院に男の嫉妬深い声だけが響き渡った。

