「…麗華!」
俺は何も考えず無意識の内に病院に響き渡る程の声で叫んでいた。
驚きながら恐る恐る振り返る麗華の隣には一人の男が立っていた。
異様な空気が漂ってるのを感じても気にせずにゆっくりと麗華の姿を確認する為に近づいていった。
「誰だよてめぇ!何しに来たんだよ!」
隣にいるジャージ姿の男は俺の姿を見てじっと睨みつけていた。
この男は間違いなく麗華を傷つけた張本人。
「何もしねぇよ。俺、ただのホストだから」
怒りを押し殺しながらこの男の質問に平然としたフリをして答えた。
本当は何もしないんじゃねぇんだ…俺には何も出来ねぇんだよ。
俺は麗華の彼氏じゃない…だから、俺には何もしてやれる事なんて無い。
そう考えると目の前にいるこの男に負けてる様な気がして…何故か無性に悔しくなった。

