でも今はもう穴を空けたり痛みを紛らわそうとすることはやめた。
何かが変わった訳でもねぇけど…辛さを感じない様に必死に現実から目を逸らした。
だから…ただ麗華にも分かって欲しかった。
傷を癒す方法なんて何処にも無いって事を。
「麗華…もうそれ以上傷つくな。助けてやれる自信はねぇけど、楽になるまで俺の傍にいればいい。俺は…絶対にお前を傷つけたりしないから」
例え癒せなくても傷を増やさなければいい。辛かったら必死に逃げればいい。
どちらにしろ辛いかもしれねぇけど、ずっとそのままでいるよりは少し楽だと思うから。
「…凌っ…」
涙声で俺の名を呼んでいる麗華をそっと優しく抱き寄せた。
何も言葉は交わさずただ何度も唇を重ねた。
朝陽がちょうど水平線の上に浮かびながら辺りを明るく暖かに染めていた。