「…俺もそうだった。自分の体とかどうでもよくて…ただ楽になりたかった」
麗華の手首にゆっくりと触れた。
生きたいと訴えてる様な暖かさがじんわりと伝わってきた。
俺もお前と同じ様に堕ちる所まで堕ちた人間だからよく分かる。
ただ辛さや傷みから逃げようと必死だった。
「ほら…すげぇだろ?」
俺は目に涙を溜めたままの麗華に自分の耳を見せた。
「えっ…」
無数に空いた穴を見て麗華はただ言葉を失っていた。
高校の時から穴は空けていたけど単にお洒落の一貫としてピアスをつけて楽しむ程度だった。
それがこの世界に入ってから段々と数が増えていき…気づいた時にはもう穴を空ける場所が無い程になっていた。

