海から上がった俺達を待ち受けていたのは冷えきった冬の風だった。
寒さで震えながら慌てて車に乗り込み車内に暖房を出来る限り効かせた。
「…大丈夫か?」
俺のスーツの上着をそっと被せながら小さく震えている麗華に訊ねた。
「うん。凌は…大丈夫なの?」
「あぁ、俺は大丈夫。…何か温かい飲み物買ってくるからちょっと待ってて」
おそらく外の気温は10゚あるか無いか…それくらいの寒さ。
正直なところ大丈夫では無かったが…震えている麗華を見ていたらそうは言っていられない。
近くにあった自動販売機で温かいコーヒーを2つ買った後すぐに車に戻った。
その一つを麗華に手渡すと"ありがとう"とお礼を言いながら大事そうに口に運んでいた。
ようやく寒さが和らいできたのか…麗華の肌が段々と元の自然な色に戻り始めていた。

