「見て!…凄く綺麗」
朝陽が反射してキラキラと光を放つ海を指さしながら麗華は無邪気な笑顔を俺に向けた。
「そうだな…」
俺は素っ気なく答えた後、煙草を吸おうとスーツのポケットの中を探したが何処にも見当たら無かった。
どうやら車の中に忘れてきたらしい。
煙草を諦めて仕方なく砂浜に座り込む麗華に近づいていくと、麗華は突然立ち上がった後、何故か靴を脱ぎ捨てて目の前の海の中へと足を踏み入れていった。
「…きゃっ…冷た〜い!」
麗華は足をジタバタさせながら当たり前の事を口にしていた。
「何やってんだよ…」
俺は呆れながら何故か楽しそうにはしゃいでいる麗華をただ呆然と眺めていた。