「もしかして…一度も来たことねぇの?」





麗華の表情を見た時、何となくそう感じた。




「うん…初めて見た」





寄せては返す波にゆっくりと近づきながらただじっと眺めていた。




海を見てこれ程までに感動している女を俺は初めて見た。





しかも、こんな真冬の海を。





泳ぐ事すら出来ない様な海の砂浜に麗華は座り込み、無邪気な表情を浮かべながら冷たい波にそっと触れていた。





朝陽がようやく昇り始め…揺れ動く波に光が綺麗に反射していた。