でも残念ながらそんな心配は全く必要ない。
「俺は別にいいよ?そんな事気にしないし」
No.1なんかに固執する訳でも無いし正直言ってどうでもよかった。
噂とか…そんな事は気にならない。気にしたって何にもならないことくらい知っている。
莉奈は俺の答えを聞いてもしばらく何も言わなかった。
「ねぇ…そういえば…凌って本名なの?」
そして俺をじっと見たまま真剣な表情でようやく口を開いた。
「…そうだけど」
今さら聞かれるとは思って無かったが、ただ本当の事を答えた。
「…やっぱり。じゃあ、雑誌に載ってた"琉依"って…凌のことだよね?」
「あぁ…店では琉依って名前だから」
莉奈の口から琉依って言葉が出て来たことに…俺は何故か少し驚いてしまった。
雑誌にも何度か載った事くらいはあった。
それに有名店のNo.1を背負ってるからには、この世界で色んな奴に知られてる自覚はあった。
だからこいつが知っててもごく普通で当たり前の事だろう。
琉依としての俺を知って欲しくないとか一瞬でも考えてしまった俺は本気でどうかしているのかもしれない。