車のエンジン音だけが遠くの方に聞こえる静かな車内。 「…何も聞かないの?」 窓の外に視線を向けたままゆっくりと話し出す莉奈の声が静かに響いた。 「…ん?何を?」 ハンドルを握りながら莉奈の言葉にも平静を装いながら分かってないフリをして答えた。 本当は分かってる…莉奈の言葉の意味を。 でも俺が聞く様な事では無いと思った。 自分でも理由とかは分かんねぇけど何と無く聞いてはいけない様な気がしていた。