助手席に莉奈を乗せて車をゆっくりと夜の街へ向けて発進させた。
「店、どの辺にある?」
流れていく窓の景色をぼんやりと見つめている莉奈に訊ねた。
「一丁目の<DOLLS>っていうお店なんだけど…」
「お、マジで?俺の店から結構近いよ」
「えっ…そうなの?よかった〜」
<DOLLS>って確か…結構この辺りじゃ有名な店だったような気がする。
女の世界に全く興味とか無いから詳しい事まではよく知らねぇけど。
自分の記憶と莉奈の案内だけを頼りに車を数分走らせた先には…
「もしかして…これ?」
「うん、そうそう!」
俺が指をさす先には明るい色のネオンで派手に装飾されたビルがあった。
どうやらここが<DOLLS>という店の様だ。
俺らの店<shelter>には負けるがこの街でも結構な大きさを誇っている方だと予想される。
開店前だというのに同伴の客や仕事帰りのサラリーマン達までもが店の前に群がり、見るからに人気店だということが分かる。