「俺、そろそろ仕事行くけど…莉奈は?」
スーツの上着を羽織りながら車の鍵を手に持った。
気づかない内にまたあの長い一日が始まる時刻になっていた。
「あたしも、これから行くつもり」
「じゃあ、家まで送ってくよ」
「ううん…平気。そのまま店まで行くから」
ただ遠慮してるだけなのか…それとも家に帰りたくない理由があるのか。
どっちにしろただの強がりだって事は俺にも直ぐに分かった。
「じゃあ…店まで送ってく。それならいいだろ?」
「うん…ありがとう」
ようやく納得した莉奈を連れてエレベーターに乗り込み地下の駐車場に向かった。

