｢水…飲む？｣
俺はキッチンへ向かってコップに水を注いでそれを莉奈に手渡した。
｢…ありがとう｣
莉奈はそれを嬉しそうに微笑みながら受け取った。
それを見て眠っていた時の悲しげな表情よりも笑顔の方が似合うと感じた。
俺は莉奈に対して出来るだけ優しくしてあげようと心がけた。
例え可哀相だとかそういう同情だとしても…その優しさが嘘だとしても人は誰かに優しくして貰えれば安心するものだろうと思ったから。
しばらく経った後、仕事の準備をする為に寝室を出ようと立ち上がった時――…
｢もう少しだけ…ここに居てもいい？｣
振り向くと莉奈が俺のワイシャツの裾を弱い力で掴んでいた。
