風呂場を出てすぐに冷蔵庫に冷やしてあったペットボトルの水を一気に飲み干した。
酒で荒れた喉にすっと染み渡っていく様な感覚が俺を襲った。
バスタオルを腰に巻き付けた風呂上がりの状態のままソファーに座り煙草に火を点けた。
いつもなら静かな部屋にライターの音が虚しく響くだけだったけど、今は遠くの方で微かな寝息が聞こえてきていた。
「まだ起きてねぇのかよ…」
溜息と共に呟いた後、煙草を佗えたまま女が眠っている寝室に向かった。
寝室の扉を開ける音にも無反応で、俺がどれだけ物音を立てても全く気づくことなくベッドの上で熟睡していた。
よくよく考えれば、ここまで連れて来る時も全く起きなかったんだし当たり前か。
ただ疲れてるだけなのか…酔い潰れたのかは分からねぇけど、どっちにしろ朝になればさすがに目を覚ますだろう。
扉をゆっくりと閉めると部屋の中は真っ暗で煙草の火の部分だけが辛うじて明るかった。

