汚れた天使















そして、マンションの地下に車を停めた後。






女を背負いながら何とかオートロックを解除してエレベーターに乗り込んだ。






深夜という事もあって誰にも目撃されなかった事がただ唯一の救いだった。






自分の家に女を連れ込むと何かと面倒だが…今さら引き返す事も出来ず仕方なくそのまま玄関の扉を開けた。





女を背負ったまま寝室に行きベッドにそっと下ろした後、俺は久々に自分の家でシャワーを浴びた。





いつもの様に酒と香水の匂いが染み付いた体からはさっきの女の匂いを微かに感じた。





俺がいつも会ってた派手な女がつけてる様な香水の匂いでは無く…優しくて消えてしまいそうな程の本当に微かな香りだった。





あの女は一体何者なのだろうか。





駐車場も車の中も俺の部屋も暗かったから顔とかは余り見ていない。





それどころか名前も歳も…何処から来たのかさえ知らない。







何も知らない女を家に連れて来てた俺はどうかしていると分かっていても、あのままあの女を放って置く事が…俺にはどうしても出来なかった。