電車を乗り継いで数分後、ようやく目的地に着いた。
小さなアパートを目の前にして手紙に書かれた文字と照らし合わせていた時――…
アパートの階段から一人の女がゆっくりと下りて来た。
ふわふわとした明るい茶色の髪を揺らしながらゆっくりと地面へと降り立つ。
その姿はまさに天使の様で…
「…麗華!」
気づいた時には遠くから叫んでいた。
「…凌…?」
麗華は恐る恐る振り返り驚いた表情のままその場に立ち尽くしていた。
俺は麗華の元へ行きそのまま優しく抱き寄せた。
お互い何も言わないまま麗華は涙を滲ませながら俺の胸に顔を埋めていた。

