人生で初めて訪れた東京駅から新幹線に乗り込み大阪方面へ向かった。




小さな便箋を握り締めながらただ窓の外から流れゆく景色に目を向けていた。





新幹線を降りて着いた大阪は都内と比べて少し温かい気がした。




1月の肌寒い日に俺は初めて大阪の街を歩いた。




派手な繁華街は何処となく都内にも在りそうな気がしたが過ぎ行く人の数は少ない様に思えた。





俺の心は少しの不安と好奇心で溢れていた。




東京とは違う香りのするこの街で何の当てもない心細さと新しく何かが起きるであろうという期待が入り混じる。




寒空のもと便箋に書かれた文字だけを頼りにひたすら歩き続けた。