「…分かった。そこまで言うのならもう俺は何も言わない。後悔するなよ」
「はい、ありがとうございました…」
最後にオーナーに向かって深く深く頭を下げた後、部屋の外に出た。
この店の薄暗さと煙草の匂いが何と無く懐かしく感じた。
店のホールには隼人を始めとする後輩達が綺麗に整列しながら俺を出迎えた。
「琉依さん…お疲れ様でした!」
「「お疲れ様でした!!」」
隼人の声に続いて沢山のホスト達が一斉に俺に向かって頭を下げていた。
「皆…ありがとな。隼人、今度はお前がNo.1としてこの店を引っ張っていけよ?」
「はい!…頑張って、琉依さんみたいなホストになります!…だから、その時は絶対またここに戻って来て下さいね!…待ってますから」
涙ぐんでいる隼人の頭に手をのせながら俺は店の中を見渡した。
今日でこの店に来るのも後輩達に会うのも最後かと思うと何処か寂しい感じがした。
「…あぁ、楽しみにしてるよ」
もらい泣きしそうになるのを堪えて後輩達に見送られながら店を出た。