恐らく俺があの男に渡した金を返そうとしたのだろう。





でも俺が欲しいのは金じゃない。





例えこの鍵と通帳が麗華の選んだ答えだとしても…俺はまだ納得がいかない。




真冬の中ワイシャツ姿のまま部屋を飛び出し凄まじい速さで車に乗り混んだ。




車を飛ばして向かった先はまだ早朝の眠らない街。




ただ諦めたく無かった…




もう結果は見えていても…僅かな期待を残し<DOLLS>の扉を勢いよく開けた。




「麗華…いや、莉奈は来てませんか?」




息を切らしながら薄暗い店内の中で出せる限りの大声で訊ねた。




俺の一言でさっきまで騒がしかったはずの店内が一気に静まり返った。